読書の秋 イラストレーター和田誠氏の訃報から蘇る記憶

雑記

最近ニュースでイラストレーターの和田誠氏の訃報が偶然流れていた。この人の事は殆ど何も知らないのだが、そのニュースを聞いた時、その氏名と可愛らしいイラストとそのイラストが書いてあった文庫、それを薦めてくれた人などの思い出が蘇ってきた。

スポンサーリンク

読書嫌いな子供時代

僕は小学生の時から文章を読むのが得意ではなく、国語の成績も良くなかった。場所としての図書館は好きだったのに、絵本や挿絵が多い本などを手に取り、文章が多い小説などを読むのは苦手であった。夏休みなどに読書感想文を宿題として課されたときは、その本を読まずに、雰囲気だけで感想文を書いていたりした。

星新一のショートショートとの出会い

ある日担任の先生が、星新一のショートショートが面白いよと授業で薦めてくれ、それを機にショートショート作品を読み漁った。星新一は数ページの短編集である「ショートショート」と呼ばれるジャンルが得意で、数ページのショートストーリーは、大抵最後に意外な展開が待ち受けていたり、ブラックユーモアを交えた人間模様にワクワクドキドキしたものである。

小説家、児童文学作家の椋鳩十も子供時代はガキ大将で本とは無縁であったが、担任の先生が「不思議の国のアリス」を紹介してくれ、その一冊をきっかけに文学の世界に入っていったそうだ。

僕も、このショートショートがあったから長い小説も読めるようになったので、この時の国語の先生には感謝している。文章や読書が苦手な人に是非お勧めしたい。最も有名なのが「ボッコちゃん」であるが、紹介している「ありふれた手法」も面白い。

 

消え去っていなかった記憶

不思議なのは、和田誠氏のニュースを聞いてこの様な記憶が蘇ってきたのは、どうしてなのだろうか。星新一の文庫は沢山あり、当時読み漁っていたが文庫の表紙のイラストが和田誠氏が描いていたという事を自分は認識しており、今回の訃報を機に当時の事が蘇ったということは、キーワードが自分の記憶の扉をノックし開錠したのだろうか。今までいろいろな本を読んできて、いちいちその本のイラストレーターの名前を確認したり、覚えている事はないと思うのだが、いやこの星新一の本に関しても強く認識していた覚えはないのだが、どのように心の奥底にしまい込まれていたのだろうか。忘れていたものが、ひょんなきっかけで意識に思い出され不思議だった。

夜会工場で中島みゆきがやりたかったもの

夜会工場は夜会のダイジェストコンサートであり、中島みゆき以外の歌手が一曲丸ごと歌うシーンもあり、ファンの間でも「もう少しみゆきさんに歌ってほしい」という不満の声が出るコンサートだった。夜会には「二隻の舟」というテーマ曲があるが、夜会工場にも「産声」というテーマ曲がある。「忘れてきたもの何かある、捨て去ってきたもの何かある、どれも都合よく消え去りはしない、どれも都合よく呼び戻せるはずもなくて」と歌う。
過去のシーンを再現し、それは完全に同じ再現ではなく歌う人が違っていたり、小道具が違っていたりという差異がある場合もあるが、それも余計に刺激になり、過去その夜会を見ていた当時の自分にタイムスリップし、その当時に何を思っていたかを思い出す作業なのかと思ったのである。和田誠氏の名前から無意識的にしまい込まれていたものが、一気に出てきた様に、普段意識することのない過去の記憶や感情を再構成する極めて精神分析的な実験劇場だったのかなと思ったのである。

コメント

タイトルとURLをコピーしました